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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

察化と咲嘩、口真似の話のつづき

一方、万作さんの咲嘩では、太郎冠者がそもそもおかしな人物だという色彩が濃い感じがしました。
たしかに伯父の家も顔も知らずに都へ上り、物売りのように伯父の家はどこかと呼ばわって歩くなどというのは、ずいぶんととんちんかんな人物ではありますが、万作さんの咲嘩では、さらに主人から「あれはみごいのさっかという大盗人」と聞かされると、当の咲嘩に「汝はみごいのさっかという盗人だそうな」とか「後が面倒なので振る舞いをして返すことにした」などと、ぺらぺらとしゃべってしまう形になっています。

その後も咲嘩の相手をしながら、鶯をぐいすと言ったりするのは則直さんの場合と同じではあるのですが、咲嘩自身に「みごいのさっかという盗人」などと言ってしまう場面が入ることで、その後のやり取りも太郎冠者の妙な人物振りが強調されるように思います。

そのため、口真似をするようにと主人に命じられたところでは、特別に腹を立てたという演じ方はされなかったように思います。
ちょっとした場面のありなしと、演じ方の違いで、人物設定が随分と変わってしまうものと感じました。

口真似でも、万之介さんの太郎冠者は妙な人物として描かれていた感じでしたが、彌太郎さんの太郎冠者は、連れてきた男を追い返せという主人に「それでは後日会ったときに言葉がまずかろう」ととりなす常識人振りを見せます。
このため、主人は太郎冠者を「腰の高い者」だから勝手なことをしゃべらないように口真似をせよと命じ、太郎冠者が不満一杯の雰囲気で「あー」と返事をする演出でした。

こうして比較してみると、なかなかに面白いものです。

なお和泉流の「さっか」では、主人が太郎冠者に「あれはみごいのさっか」という大盗人で「世の常の盗人は、人の目顔を忍うで取る。きゃつは見た物は乞うてでも取るようなものじゃによって見乞い、咲嘩とは盗人の異名」と教えます。

この後段の「世の常の盗人は」からは、大藏流にはありません。
とは言え「咲嘩とは盗人の異名」というのも、どうも聞いたことのない話です。大藏流山本則直さんの察化について書いた際には、「さっか」は「目」の訓という話を書きました。四等官の「さかん」の読みが転じたという説です。

そうだとすると、「見乞い」だから「目(さっか)」となるのでしょうけれど、さてどうなのでしょうか。
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