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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

杜若・・・つづき

この杜若、世阿弥の作という話もあるのですが、世阿弥作の名曲「井筒」と比べると、なんだかぼわーっとした雰囲気の能で、今ひとつ分かり難い感じです。
井筒では、業平を待ち続けた紀有常の娘の霊が現れて、業平の残した形見の衣を着けて舞い、さらに自らの姿を井戸の水面に映して見るという、ある意味ドラマ性のハッキリした構成になっているのですが、これと比較すると、なんとも杜若の話は頼りない感じ。



女は杜若の精であり、業平と高子それぞれの形見を着けることによって、業平と高子も重層的に重なっていくのでしょうけれども、だからといってそこにハッキリしたドラマ性があるわけでもないので、結局振り出しに戻って「草木の精の登場するぼわーっとした能」になってしまうような気がします。



しかしこの日の辻井さん「なうなう」の呼掛から、思いの外に強めの謡。詞にもメリハリがあって、想像していたぼわーっとした感じとは随分違う印象でした。
曲全体の運びも割合に早めで、クセから序ノ舞へと徐々に調子も上がっていく感じ。序ノ舞は本三番目のような重いゆったりとした舞ではなく、もう少し軽やかな感じで長さを感じさせませんでした。



正直のところ、純粋な三番目物という雰囲気とはいささか違う感じを受けたのですが、これはこれで面白い。ああこんな杜若は良いかもしれない、と思った次第です。
考えてみればこの曲は太鼓入り序ノ舞で、キリの感じといい、いわゆる本三番目物とは一線を画していますし、昔は五番目に置いたという話を聞いたこともあります。そんな意味で、面白く観させて頂いた感じがしています。



地謡も高橋忍さんの地頭でしたが、全体として小気味よく進めている感じで、楽しく聞くことができました。
しかしこの曲に限らずではあるのですが、金春流の謡、拍子当りの難しいこと。どうやら流儀の特徴でもあるらしいのですが、「エエッー!?」というところがいくつか。地謡は一糸乱れぬ謡で、全員が同じように謡っているので間違った訳ではないらしいし・・・
これでは囃子方も大変でしょうねぇ・・・などと思いながら、聞いておりました。

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最近の研究によると、井筒はもちろん世阿弥ですが、杜若や熊野は禅竹作だとか。法政大学能楽研究所に聞いてみてください。

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