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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

藤栄もう一日つづき

クセを舞い上げたシテは一ノ松に立ちますが、アイが狂言座から出て傘を肩にして謡います。このアイにワキが呼び掛け、今舞った者が藤栄と確認したワキは、舞が面白いのでもう一度舞って見せよと伝えるようアイに命じます。

ワキの態度が横柄なのでアイは腹を立てますが、シテは騒がず「ああ暫く」とアイを留め、ワキに対して「今度は八撥を打って聞かせよう」と言わせます。アイはこれを告げ、ワキの態度を腹に据えかねる様子で「腹立ちや腹立ちや」と言いつつ、退場してしまいます。

シテはどこの者とも知れぬ修行者に舞を乞われたのは藤栄の面目、と鞨鼓を舞うことにします。「あまりに彼奴が憎さに、わざと鞨鼓の撥を大きにあつらえ」と内心、怒りつつ舞うことにするわけです。
物着で鞨鼓をつけて鞨鼓の舞、自然居士と同じ形ですね。

鞨鼓を舞い上げ、中ノリの地謡にのってシテは舞い、地謡の「天雲まよふ鳴神のとどろとどろと鳴る時は」で常座から橋掛りへ入り、「雨ははらはらはらと」と欄干を打つ型を見せます。さらに「音も八撥もいざ打たういざ打たう」でワキに詰め寄ります。

「この上はさし扇を除けられ候へ」とワキに迫って笠を落としますが、ワキは顔を隠していた扇をのけて「やあこれこそ鎌倉の最明寺実信よ見忘れたるか藤栄」と決めます。これにシテは驚き、下がって平伏しますが、ワキは月若への所業を叱責し子方に呼び掛けて重書を渡し、所領安堵を伝えます。
さらに藤栄に対しても慈悲を持って罪を許し総領を総領と立てよと命じます。

最後は地謡が月若の一族は以後繁栄したと謡って、シテが子方とともに立ち、子方を幕に送って常座で留拍子を踏みます。

勧善懲悪と言いながらも、慈悲を持って藤栄を許したという形で、藤栄の芸尽くしと目出度い気分を重視した作りのような感じですが、なかなか面白い曲と思います。観世流はなんで現行曲にしてないんでしょうかねえ。
(71分:当日の上演時間を記しておきます)
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コメント

鑑能御礼

毎度の鑑能、誠に有難うございます。時頼が身分を隠して重書を見るのに一旦は断られるくだり、私に任せれば二、三日で月若を世に立てると言い、世には不思議な事があるとワキヅレを説得する処は正に水戸黄門その物ですね。私(藤栄)はさながら悪代官と言ったところでしょうか?さて、今回親子共演となった訳ですが諸先輩から「一緒に演るのいやだろう?」と言われました。亡き父からも「亘と演るの?いやだなぁ。」とよく言われました。これが『綾鼓』とかになると「亘に恋するの?そりゃねぇだろう。」とひどい物で・・・。でも、なぜ嫌だったのかやっと本当の理由がわかりました。一月の愚息の初舞台の地謡に座っていても気が気じゃない。まして共演なんて・・・。舞台の上で自分の事だけに集中できずついついちゃんと座ってるかな?寝てないかな?足痺れてないかな?等余計な事を考えてしまいます。でも、逆に役者冥利に尽きる部分もありますね。親子三代で同じ舞台に立たれた先生方の嬉しそうなお顔は一様に同じでした。亡き父も小さい孫を見ながら密かに夢見てたのかなと思うと感慨深いです。私は親子共演、又演りたいです。

高橋亘さまコメントありがとうございます

正直、見所で観ていても、きっとお子様のことが気になっているのだろうなあ、と拝察しておりました。
でも「役者冥利」とおっしゃるように、同じ道を歩まれる方ならではの部分でもあり、うらやましくも拝見したところです。
何より、希くんの舞台、大変しっかりしておられて、将来が楽しみです。

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