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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

鉢木 櫻間右陣

金春会定期能 国立能楽堂
 シテ 櫻間右陣、ツレ 塚原明、ワキ 野口敦弘、アイ 榎本元 大藏千太郎
       大鼓 柿原崇志、小鼓 北村治、笛 藤田次郎



久しぶりの金春会。思いの外、能楽堂に早く着いてしまったため、強い風の中でずっと待つ羽目になってしまいました。



鉢木というのは、ご存知の方も少なくないとは思いますが、鎌倉幕府の執権、北條時頼にまつわる話。時頼は修行僧に身をやつして諸国を巡り、世情を調べているのですが、上野の国、佐野のあたりで大雪に遭い一夜の宿を借りるという設定です。



ツレが静かに登場して座に着くと、ワキの出となりますが、ツレの塚原さんもワキの野口さんも小柄でちょうど同じくらいの背丈ですねぇ。
野口さんのワキは重すぎず、渋い演技。大雪に難儀している風情が感じられます。
笠の下に出家のため角帽子を着けているので、笠を脱いだときにちょっと先の方を直されました。



ツレ、ワキの問答が済むとシテの出。
橋掛りを進むと一の松あたりで一度立ち止まり、「ああ降ったる雪かな」と謡って、さらに袂も朽ちて、それをいかんともしがたい落魄の態を嘆きます。右陣さんの能は何度か拝見していますが、今まで一番良かったかな、と思いました。



一度は宿を借りたいとの願いを拒むものの、あまりの大雪に旅僧を泊めることにします。が、薪もなく、秘蔵の梅、桜、松の鉢植えを切って薪にするという話。
作り物を後見が途中で運んできて正先に置きます。雪の代わりに綿が乗せてありますが、シテがこの雪を払う仕草。なかなか風情があります。



落魄の身で、破れた具足に錆びた長刀、痩せ馬一頭しかないが、それでもいざ鎌倉というときは、一番にはせ参じるつもりだ、とシテ佐野源左衛門は語ります。一夜明け旅僧は出発しますが、なにやら思わせぶりな言葉を残していきます。



ここで中入り。ワキが出発した後ろ姿の後、シテ、ツレが中入りします。
と代わってアイの早打が登場し、最明寺時頼が諸国の御家人に鎌倉に参じるよう命じたので使いに出た旨を述べます。「忙しい、忙しい」と動きまわる榎本さんの早打が引っ込むと後ワキ最明寺時頼がワキツレ二階堂某、アイ太刀持ちを連れて登場。座に着きます。



ワキの野口さん、装束が変わったせいもあるのでしょうが、一段格が重くなった感じ。
囃子が早笛に変わって後シテの出となります。うーん、やっぱり今までの中で、今日の右陣さん一番良い感じです。



後は時頼が源左衛門を探し出させ、本領を安堵して目出度し目出度し、となるわけですが、この手の成功譚ってきっと武家社会ではうけたんでしょうねぇ。山内一豊の妻もそうですが、話としては出来すぎの感じはあるものの、ついつい「ええ話やなぁ」と思ってしまいます。さらに、薪にした梅、桜、松にちなんだ所領ももらったという、実に出来すぎた話になっていて「いやあ目出度い」ということですね。



直面で舞もなく、謡の掛け合いが非常に多いという、どちらかというと特徴のある曲ですが、なかなか楽しめました。
地頭に故障があったのか、後見のはずだった本田光洋先生が代役。そのため後見は本田先生のご子息、芳樹さんと布由樹さんのご兄弟。本田先生の地頭で「これは!」と期待したのですが、いささか息が合わない様子で、ちょっと乱れ気味だったのが残念と言えば残念でした。
(本田先生は次の蝉丸も地頭。こちらは聞かせて頂きました)



とりあえず本日の記事は、鉢木のみです。残りは明日以降、順次アップします。

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