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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

熊野さらにつづき

地謡の「牛飼車寄せよとて」でワキが車を出すよう命じ、後見が車を出して目付に据えます。
一同は車に乗ったという形でシテのみが車に入り、ツレがシテの後に、ワキ座側にはワキと、後にワキツレが並びます。

車中はあまり動きがないのですが、「東路とても東山」とシテが謡いつつ車の左前につかまり身を寄せた形から、下がってシオるなど、大きな動きではないのですが、印象的な型があります。動きの取れない車中で、故郷の母を思うという気持ちを抑制された動きで表す訳ですが、能らしい表現というか、趣の深いところです。

「四条五条の橋の上」からは、車中で右を向いてワキ正から幕の方を見やり、あたりの景色を眺める風。また「六道の辻とかや」と遠くを見やって、思いにふける風など、抑制された型が続きます。

車を降りたシテは、直ぐには宴に加わらない様子で正中で下居して合掌し「仏の御前に母の祈誓を申さん」と祈る形。しかしワキに呼ばれて花見の宴になりクリ、サシ、クセと進みます。
クリでは病母に思いを馳せる風。大小前に進んで下居してシオリます。
またサシの「花前に蝶舞ふ」の一節は聞かせどころ。

クセは観世流は舞グセで、「立ち出でて峰の雲」で立ち上がり、謡に合わせての舞となります。クセの終わりの大小前左右から、シテの謡「山の名の音羽嵐の花の雪」で正へサシ込み開キ、地謡が受けて、シテは常座へ向かいつつ扇を上げ汲み上げる形から正中へ酌ノ扇の形で出て「妾御酌にまいり候べし」と詞。

ワキの「ひとさし舞ひ候へ」から、地謡「深き情を人や知る」でシオって立ち上がり橋掛りへと進み、三ノ松で立ち止まって戻りながら舞へと入っていきます。
確か国立能楽堂での六郎さんの熊野では、二ノ松あたりから戻りましたが、矢来と国立では橋掛りの長さが全然違うので、そのためでしょうか。

村雨留めの小書がついているため、中ノ舞を二段で打ち切って「なうなう俄に村雨のして」とシテの謡になります。熊野の村雨留というのは何度見ても気持ちが盛り上がる感じがします。舞をもっと見ていたいという気持ちもするのですが、途中で打ち切ってしまうことで、より思いが凝縮されるような感じです。

最後は「鳥が鳴く東路さして」と立ち上がり、急ぐ心で橋掛りへと進みますが、幕前から戻って、「明け行く後の山見えて」と一ノ松で雲扇から抱扇、再び幕前まで進んで留拍子を踏みました。思いのこもった風情ある熊野だったと思います。
(89分:当日の上演時間を記しておきます)

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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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