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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

藤戸のつづき

ワキは、シテ女の息子を波に沈めた恨みというのには心当たりがないと返しますが、重ねてシテが「我が子を波に沈め給ひし事は候」と言うと、「ああ音高し何と何と」と強く押しとどめるように返します。なかなかに緊迫したやり取りですが、見応えあるところです。

シテ、銕之丞さんの続く謡。「なう尚も人は知らじとなう」の二度出てくる「なう」に深い思いを込めた感じで、長く引く感じで謡われました。さらに続く地謡、下歌の「何時までとてか信夫山」と面をほんの少し伏せた形。「忍ぶかひなき世の人の」と面を直し、上歌「住み果てぬ」とやや体を起こす感じで、ワキの方を向いていたところから正へ直します。
さらに「思いは世々を引く」と面を伏せつつワキの方を向き、「弔わせ給へや」とワキに迫るようにほんの少し身を乗り出す感じから、「跡とむらはせ給へや」と力が抜けたように腰を落としてシオリました。

こういう型付なのだと言ってしまえばそうなのでしょうけれども、ほんの少し面を伏せたり戻したり、腰を浮かせたり落としたりといった所作が、謡と相俟って子を殺された母の心情を痛切に表した感じです。

ワキはこの女の様子に、その時の有様を語って聞かせようと言い、立って正中に出て下居しての語になります。ワキの語るうちに「不便には候へしかども、かの男取って引き寄せ二刀刺し」のところでは悲しみにあまってシテのシオリ。
ワキは続けて、死んだ男の跡を弔い、その妻子を世に立たせようから、恨みを晴らすようにとシテに語りかけます。

シテは我が子を沈めた場所はどこかと問いかけ、ワキが「あれに見えたる浮洲の岩の」と指し示してシテ、ワキが見やる形になりますが、融の名所教えのように、なにやら見所の中に岩が見えるような感じです。

正面に向き直ったシテは「さては人の申ししも少しも違わざりけり」と面を伏せ、腰を浮かせてスッと立ち上がると正へ出てワキに向き直ります。地謡の「悪事千里を行けども」で一度正面に直した後、再びワキを向いて下居して「こはそも何の報いぞ」とシオって、クセになります。
さてこのつづきはまた明日に
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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