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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

藤戸さらにつづき

クセは居グセですが「二十余りの年なみかりそめに立ちはなれ」とシテは少し面を右に流し、戻して伏せ気味に。「憂き節しげき」と面を上げ、「もの憂き身なるものを」では、やや面を伏せて、思いあまったように右手を上げ膝を叩くようにして立ち上がり「同じ道になして賜ばせ給へと」ワキに迫りますが、下がって両手を伸べ「我が子返させ給へやと」とモロシオリして悲しみを表します。

このシテの様子に、ワキはアイを呼び、シテを家に帰すことにして、アイの送り込みで中入りとなります。
間狂言が送りつつシテに声をかける形ですが、万之介さんのアイが柔らかみのある趣。

さて後場はワキ、ワキツレの待謡から、ワキがワキ座に立って「一切有情、殺害三界不堕悪趣」と謡い、一声で後シテの出となります。

現れ出た後シテは紺地の無地熨斗目に薄い浅葱の水衣、腰蓑を着け右手には杖。黒頭に面は蛙でしょうか。魂魄が体の回りに漂っているような不思議な印象です。
常座でサシ謡となりますが、どちらかというとサラリめの謡で、前シテとは異なり、あまり強く感情が出ない感じです。「思えば三途の瀬踏なり」と杖を前に出して見込む形。
シテ、ワキの問答となります。

シテは弔いしてもらうことは有り難いけれども恨みは尽きぬと言い、盛綱が先陣の恩賞を賜ったのも(自分が浅瀬を教えた)お陰だろうと、ワキ「如何なる恩をも」シテ「賜ぶべきに」と二足ツメて「べき」のところに思いを込めた形です。

地謡が受けての謡に合わせ、四、五足出てワキに向き二足ほどツメたのち、自分が殺された岩の辺りを見やる形から二足下がり、ワキ正へ出ます。杖を左手にとり太刀に見立てて右手で抜き「胸のあたりを刺し通し」と二度ほど指す形になります。

地謡がゆっくりと締めた謡で暗い雰囲気を醸し出します。海に押し込められたと常座に座した後、立ち上がって「波の浮きぬ沈みぬ」で一度膝をついて再び立ち上がりますが、この上下の動きが波に浮き沈みしている様のよう。

「恨みをなさんと思ひしに」と正中へ出ますが「思はざるに御弔いの」と地謡が晴れた感じに変わり、合掌の姿を見せます。杖を構え、杖突きつつ常座へ進んで足拍子。杖を落として留になりました。

「写実」と言ってはいささか違いますが、所作が謡と相俟って見応えある舞台でした。
留のところ、昨年の宝生の田崎さんのときには、杖を落とした後にモロシオリしてから留拍子を踏んだ形が何か深いものを感じて印象的でしたが、杖を落とした後は二足ツメての形でシンプルに思いを昇華した感じがしました。
(77分:当日の上演時間を記しておきます)
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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