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能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

鱸包丁のつづき

シテ伯父は、甥を招じ入れてワキ座近くに座らせると、常座辺りに下がって、やって来たのは自分の甥なのだがその言うことは「百に一つもまことはござらん。この度もたらしに来たことでございましょう」と、甥の嘘を見破っていることを独白します。さらに自分も口調法で甥を懲らしめて帰そうと思う旨を述べ、幕に向かって「最前貰うた三こんの鱸のうち、一こん洗へと言え」と命じて常座の少し前辺りに着座します。

ここからがこの曲の見せ場ということですが、伯父の仕方話になるわけです。

話の流れは和泉流と変わりません。
まず伯父は鱸一こんを何にして料理しようかと甥に問い、甥がそれでは『打ち身』にして欲しいというと、『打ち身』の謂われを語り始めます。寛和元年花山院の時に遠江国橋本の宿で四官の大夫忠政が打ち身を始めたとい話ですが、すっぱと切っては、しっとと打ちつけと見事な様を見せます。そして『打ち身』は川のものでは鯉、海のものでは鯛にしか用いられないもので、鱸を打ち身で食べようなどと庖丁人の子である者が言っては笑われると甥を諭します。ここでこの甥が庖丁人の子であることが示されます。

その後も和泉流と同様の展開で、伯父は一度座を立って幕に向かって鱸を早く洗って出せと命じて戻ると、今度は身を切り分けて一つを煎り物に、また膾にとこれまた仕方を交えつつ料理していく話を聞かせます。

膾を肴に、まずは酒を五杯ほども飲もうと言い、さらに煎り物でまた七杯と酒を飲む話。次は濃茶の極を三袋貰ったが一袋を挽かせておいたのでこれを飲もうと続けます。

さてさすがに十二杯も飲んで酔ったであろうと、伯父は扇を手で弄びながら酔った様子まで見せ、鯉を持ってこないのに鱸の包丁からお茶まで頂いて忝ないと甥が礼を言う様を演じます。
今度は泥鰌なりなんなり持ってお礼に参りますので、先ずそれまではさらばさらば・・・とおっしゃるほどにもてなして帰したいが、そちらの鯉をオソが喰ってしまったように、こちらの鱸は包丁が喰ってしまった、今の話で食った、飲んだと思って足元の明るいうちにとっとと帰れと甥を叱ります。
甥が面目もござらぬと言って留になりますが、話の展開は和泉流と変わりませんね。

それにつけても東次郎さんの仕方話、見事でした。万作さんの仕方話もやはり素晴らしい物でしたが、いずれも芸術の域に達しておられました。
(27分:当日の上演時間を記しておきます)
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このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
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