FC2ブログ

能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

融さらにつづき

名所教えは趣き深い場面ですが、まずは目付方に向いて『音羽山』を教え、逢坂山は音羽の嶺に隠れて見えないと再び目付方向を見やります。
次はワキ正面と目付の間辺りの遠くを見る形で中山清閑寺を見、ワキ正方向の遠くに稲荷山。さらに幕の方を遠く見やって藤の森。二ノ松の方へさらに向きを変えて深草山と、名所をシテ・ワキ二人して見渡す形になります。

シテが一度ワキに向き直り、さらに「はや暮れ初むる遠山の」と笛座方を二人見る形になって、大原から小塩の山。地謡裏の方へ「西に見ゆるは何処ぞ」と嵐山を見ます。
このシテ、ワキの名所教えは、息が合えばその二人の見る先に京の名所が様々に見えてきます。

さて潮時も過ぎ、「実に忘れたり」とシテは両手を打ち合わせ「いざや汐汲まん」と桶を取り肩に掛けて正先に出ます。階の先に桶を落として汐を汲み、目付に月を見上げた後、ワキにツメ、幕の方を向いて右肩に担った桶をそのまま置き捨てて「跡も見えずなりにけり」と中入になります。

アイが立ってワキとの問答から居語りに融の大臣のことを語り、ワキの待謡。出端の囃子で後シテの出になります。
後シテは白の狩衣に指貫、小書きの通り笏を持ち、巻纓の冠を着けての登場です。一ノ松に出て「忘れて年を経しものを」と謡い出します。地謡の「さすや桂の枝々に」で舞台へ入りますが、小書きのため「ここにも名に立つ白河の波」で橋掛りに戻り幕前まで進んで、笛のアシライ、大小太鼓の流し打ちで大小前まで戻って急ノ舞となります。

一昨日も書いたように宝生・喜多にも笏ノ舞の小書きがあるようなのですが、あまり上演されていなようで実際はよく分かりません。宝生には酌ノ舞の小書きもあって、こちらはけっこう上演されるのですが、笏ノ舞の方は探した限りでは明治期の宝生九郎の上演記録くらいしか見つかりませんでした。
笏を持って出て、舞の時には扇に持ち代えるという話も聞きますが、金春ではそのまま笏で舞うようで、これがなかなか面白い。この舞の面白さを見せるための小書きなんでしょうね。

舞の後も趣き深い場面ですが、最後は「月の都に入り給ふ粧い」とシテは橋掛りに進んでそのまま幕に入り、ワキの残り留となりました。
風情のある良い演能だったと思います。
(78分:当日の上演時間を記しておきます)
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
このブログの記載方法などについてまとめています(リンク) 初めてご来訪の方はお読みいただけると幸いです
関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://zagzag.blog72.fc2.com/tb.php/986-667136de

 | HOME | 

カレンダー

« | 2020-02 | »
S M T W T F S
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29

月ごとに

カテゴリー

カウンター


最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

プロフィールなど

ZAGZAG

頑張らない、をモットーに淡々と行こうと思っています。