能の花 狂言の花

一観客として、能楽の面白さの一端を伝えられれば、と思っています。 初めてご来訪の方は「はじめに・・・能狂言に寄せて」のカテゴリーをご一読下さい。これまで書いた鑑賞記の索引を載せています。

関寺小町のつづき

登場した一行は向かい合って次第を謡い、地取りでワキツレは腰を下ろし、子方とともに正面を向いたワキが名乗り。江州関寺の住侶と名乗って、この山陰の藁屋に住む老女が歌を詠むと聞いたので、老女の私宅に急ぐところと言います。

続いて拍合の上歌が来るのが一般的な流れと思うのですが、ここはワキ、ワキツレが拍不合のサシで「颯々たる涼風と衰鬢と 一時にきたる初秋の 七日の夕に早なりぬ」と謡い、ワキの詞。今宵は七夕の祭と言い、上歌になります。なにやら一段、趣き深い感じがします。
観世の本では、冒頭のワキの名乗りの中で「今日は七月七日にて候程に 七夕の祭を執り行い」とありますが、下掛宝生にはこの言葉はない様子。サシの謡を聞くと、冒頭で七夕の日と断るのは些か説明的な感じもあり、冒頭の名乗りの詞章は省かれているのかも知れません。

上歌の終わり「松風までも折からの」で後見が立ち上がって藁屋に寄り「手向けに叶ふ夕かな」と引廻しに手をかけると、ワキの着きゼリフで引廻しを落とし、床几に腰を下ろしたシテが姿を現します。
ワキは、老女の私宅に着いたので暫し様子を覗おうと言い、従僧を促してワキ座へと着座します。

引廻しを下ろされた藁屋には左右に、地謡側をやや高くして短冊が下げられています。
藁屋の中からシテの謡い出し。囃子のアシライはなく、シテの謡のみで老残をしみじみと謡い上げます。最後の「あら来し方恋しや」と繰り返すところで笛がアシライ、若き日を思ってシテがシオリます。

この謡に、ワキは子方を立たせてシテを向き、二足ほど出て藁屋の内に声をかけます。
関寺の辺りに住む者だが、老女の事を聞き、歌詠みのすべなど尋ねようと稚児達を連れてやって来たと述べます。観世の本には「この寺の稚児達歌を御稽古にて候が」とあって、歌詠みの老女の所に稚児を連れて来た訳がわかるのですが、他流の本ではこの章句を欠いているので、なぜいきなり稚児を連れて来たのか分かり難い感じがします。観世流のみなので、この辺りを斟酌して後から補ったのかも知れません。
さてこのつづきはまた明日に
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関寺小町 武田志房(第四十二回花影会)

観世流 国立能楽堂 2017.11.04
 シテ 武田志房
  子方 武田章志
  ワキ 殿田謙吉
  ワキツレ 大日方寛 御厨誠吾 野口能弘
   大鼓 亀井忠雄、小鼓 鵜澤洋太郎
   笛 藤田六郎兵衛

観ようか、やめようか、演能の情報があるたびに長年迷い続けた一曲。とうとう思い切って見所に足を運びました。
滅多に上演されないこの曲、能の最奥とされますが、能楽に関わりを持ち始めて四十数年、観てみたいという気持の一方で、まだ早いのではないだろうか、全く理解できずに退屈に感じてしまわないだろうかと恐れる気持も強く、竦んでしまっていました。
宝生の今井泰男さんが流儀としては百年ぶりに上演されたときも、観世の片山幽雪さんが工夫を重ねてなさったときも、チケットを申し込もうとして、途中で止めてしまいました。

しかし観ていない曲がだんだん数少なくなる中で、観てみなければはじまらないと思い立った次第です。というわけで、本人としては清水の舞台から飛び降りるつもりで出かけたのですが、これが予想に反して面白い。深くわかった訳ではありませんが、観能を楽しむことができたことに、我ながら驚いています。

ということで、当日のメモをもとに、舞台の様子など書き綴っておこうと思います。

まずは地謡、囃子方が登場し着座。囃子方も肩衣つけて長上下、曲の重さをあらためて認識するところです。続いて作り物、緑の引廻しを掛けた藁屋が運ばれます。
藤田六郎兵衛さんの笛から次第。やはり位が重い。
その次第で、白大口に緑の長絹を着けた子方を先頭にして、ワキ一行の登場。ワキ、ワキツレは角帽子のの大口僧。ワキのみ小刀をさしています。
さてこのつづきはまた明日に
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土浦薪能

身延、関寺小町、桧垣を観たと、先日書きましたが、九皐会で身延を観た後の10月は土浦の薪能を観ています。
土浦の薪能は、土浦城東櫓の復元を記念して平成10年に開始されたもので、以来毎年土浦城址本丸で開催され、今回が20回の記念の会でした。たまたまお誘い頂いて出かけたのですが、当日はあいにくの雨で、会場は近くの市民会館。土浦城址の櫓を背景に観能ということで期待していたのですが、いささか残念でした。

第1回は出演者として近藤乾之助さん、野村万蔵さん、そして観世栄夫さんの名前が記され、曲目は舞囃子「邯鄲」狂言「清水」能「船弁慶」とあります。万蔵さんは現在の萬さんですが、乾之助さんも栄夫さんも鬼籍に入られ、20年の歳月を感じるところです。

その後、梅若六郎、現在の玄祥さん(今年、梅若実を襲名されるそうですが)の出演もあり、ここ数年は銕之丞さんが演じておられるようです。
今年は20周年記念ということで、演能に先立ち第一部として薪能ワークショップという企画があり、銕之丞さんの解説や、装束付けの体験などがあったそうです。が、この時間帯は別のイベントに顔を出していたためパスしました。

当日の演目は、仕舞が二番、狂言「萩大名」と、最後に「猩々乱」。
仕舞は銕仙会の若手ということで、鵜澤光さんが「笠之段」を舞い、小早川泰輝さんが「船弁慶」。泰輝さんは多分、始めて拝見したと思うのですが、なかなかしっかりした舞でした。しかしそれにつけても鵜澤光さん、これまでもシテでも拝見していますし、なんどか舞台を観ています。しかし素人が言うのも変ですが、あらためて上手いなあと、正直のところ驚きました。

狂言は茂山千作さんの大名に、茂さんの太郎冠者、松本薫さんが小アド亭主。千五郎さんも千作を襲名されて、一段と味わいが深い感じがします。
もともとは彦根の井伊家お抱えだった千五郎家が茨城で公演されるのは、桜田門外ノ変を思い起こすと、いささか申し訳ないような気もしますが・・・もっとも当日の会場は土屋家の治めた土浦藩ですし、まあ良いかと。

乱は20周年を記念しての選曲だったようですが、銕之丞さんの華やかな舞で、会場の皆さんもなんだか晴れやかな雰囲気になりました。
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